CROSS TALK

02

悩んだときに相談できる
頼れる先輩が身近に

香田
「なんか今日、おそろいみたいになっちゃいましたね」
神谷
「服、カブったな(笑)」
香田
「普段、アニメの話しかしないから、改まるとなんか恥ずかしいですね」
神谷
「まあ、こういう機会でもないと、年も近いし真面目な話もしないだろうから。仕事で悩んでることとかない?」
香田
「学生のときは料理人としてやっていきたいっていう気持ちしかなくて、料理を極めるのが夢だったんですけど、今はまだ新人だし、自分の料理ができてないなあと歯がゆくて」
神谷
「うちの会社は、プロとして技術を鍛えたいとか、いい料理人になりたいっていう気持ちさえあれば、入ったことを後悔はしないと思うよ。周りから与えられる技術だけじゃなくて、働いていくうちに自分から気づくこともあるし。悩んだら今の自分に何ができるのかって原点に立ち返る。これが大事」
香田
「やっぱりこうやって相談できる人が近くにいるっていうのはいいですね。正直、僕が神谷さんの下に入ったとき、僕が入ることで自分の作業に影響はないのかな? って心配してたんですよ。今の言葉含め、神谷さんから教えてもらったことは、今の自分に生きてるなって思ってます」

物事を考えて行動することが
自分自身を成長させてくれる

香田
「僕がアルバイトで『金蔦』に入ったとき、神谷さんは年齢がひとつしか変わらないのに、もう社員でしっかり調理場を回していてびっくりしました。自分がここに就職しようって決めたときも、1年後、先輩みたいに調理場を回せるか、社員として自分も成長できるかすごく不安で……」
神谷
「最初は自分のやり方にとらわれて、すごくやりづらそうにしてたよね。でも、今はだいぶできるようになったと思うよ。香田を見ていると、昔の自分もこういう感じで見られてたんだろうなって、思うことがよくある(笑)」
香田
「もともと僕はアルバイトから入ったから、社員になったとき、もう“できて当たり前だろう”っていう圧がくると思ってたんですけど、優しく1から教えてくれて安心しました。先輩が明るくて楽しい人でよかったです」
神谷
「なんか、模範解答みたいだな(笑)」
香田
「いや、本当ですよ! 入社から1年で、どうやってそこまで成長できたんですか?」
神谷
「そこに関してはやる気の部分も大きいけど、うちの会社の場合、自分で物事を考えることが重要だからかな。自分はこういうことがやりたいっていう気持ちをみんながバックアップしてくれるし、アドバイスもしてくれる。将来プロの料理人として海外に行きたいと思ったら、海外で通用する技術を身につけることもできる。夢をかなえられる環境がそろっているから、あとは自分を磨くだけだよね」

お客様の笑顔を目標にする
ホスピタリティある店づくり

香田
「今は、ひとりの会社員であり料理人として、料理を提供したらそれで満足して終わってしまうんですよね。本当はもっと上を目指すべきだと思うんですけど、単純に料理の腕を磨くこと以外に、何を目標にすればわからないという気持ちがあって」
神谷
「まずは、お客様が満足してくれるような仕事をすること。ひとつひとつにホスピタリティを持つってことだと思うんだよね。和食の世界でも仕事が雑な人がいるけど、味だけじゃなくて見た目だったり、お店の衛生面だったり、トータルでお客様が満足してくれることを目標にすると、自然と仕事は丁寧になってくるはずだから。それだけでも、店に対する見方が変わるんじゃないかな」
香田
「確かにうちの店はお客様をもてなすことをすごく重視してますよね。その割には、昔ながらの堅苦しい雰囲気がなくて、髪型を気にする必要もないし。本当に大切なことを大切にしている感じがいいなって思ってます」
神谷
「それと何より忘れちゃいけないのが、すべては“自分が楽しむ”ってこと。今日はあれをしよう、これをしようって小さな目標を決めて、それを達成していくだけでも仕事が面白くなるし、仕込みもたいして辛くなくなってくる。こうやったらもっと効率があがるんじゃないか? って、自問自答しながら仕事と本気で向き合うと、仕事は楽しくなるし、しかも勝手にスキルも上がっていくから」

自分がいる意味を考えることが
夢へと向かう第一歩

香田
「先輩の今の夢は何なんですか?」
神谷
「僕も香田と一緒で、ずっと悩んでる。でも、何かを達成したとしても、この悩みは生涯ずっと続くと思うんだよね。ただ、自分が今置かれている現場で、果たして何ができるのかっていうことは常に考えてるね。今の目標としては、自分がそこにいる意味を考えて、自分だからこそできることを追求していくってことかな。でもたぶん、それが夢に向かっていく通過点なんだと思う」
香田
「今は誰かのサポートをしながら、技術を学ぶことに精一杯ですけど、これが1年後の自分の姿かと思うと、頑張れる気がします(笑)。先輩から僕に何か希望みたいなものはありますか?」
神谷
「今は上から言われたことをやっていると思うんだけど、少し余裕ができたら新しいことにもどんどん挑戦してほしいかな。こういうことをやってみたいって発言できる場があるから、どんなことをすればお客様が喜ぶんだろう、心地いいんだろうってことを考えながら実践していけば、もっと仕事の面白みが増すと思うよ。後輩からは何かある?」
香田
「このままの優しい先輩でいてほしいです!」
神谷
「(笑)」